硝子の挿話
第14章 明言
「まあ、立ち話もなんですし。お座りなさい」
「って、ここは王様の室じゃない…浮かれているのは分かるが、今後のことを話し合いに来たんだろう?」
呆れると言わんばかりに腕を組んでそっぽを向く。―――少々、セツレイは軽さもあるらしく砕けた様子が、きっと民衆に愛されるのだろう。ティアは一度後ろ返って聞く。
「ヒリッシュ、待つと言ったのだけれど『答え』は出ました?」
「答え、ですが………主から要請があれば、自由にという回答を頂いておりますので、喜んでお受けします」
暫しじっと見ていたティアは苦笑する。似た年齢であれば、確かに可能だと知っている。別の彼が教えてくれていたけれど。―――つっ、と視線はハクレイを見た。
「?…どうしました?」
「いえ、それでは始めましょうか」
長方形の机は、神代を描いた年代物の彫り物の上に、研磨された水晶の板が張られている。
ヒリッシュが一度下がり、主賓として招いたセツレイを正面に向かいあい座った。
「自由都市の政策を教えて下さると伺いましたが、条件をお聞かせ下さいますか?」
「そうですね、…今から提示することをのんで頂けるのでしたら」
戻ってきたヒリッシュが、それぞれの前に、特殊な石でつくられた器に注いだ飲み物を出した。
「頂きましょう」