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硝子の挿話

第15章 暗夜

 祈りをどれ程深くしても。



 闇に包まれた世界の終末の始まりだった。





 本来であれば、明るく始まる筈であった星祭は、今も深い漆黒の雲が世界を覆い隠し、待ち望む太陽の光は―――届かない。
 昨日の朝から、何も変わらない天気が続いていく。ティアは色硝子の窓を開け、空を見上げて眉根を寄せた。

 とても隠し通せるとは思わない。

「サイバス」
「どうしました?」
「避難勧告を、呼びかけた方がよくないですか?」

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