硝子の挿話
第15章 暗夜
「………はい」
唇を噛み締めて瞳を閉じる。杞憂であればいいと思うほど、強く心音に訴えかける不安。捻じ伏せて祈れば、―――届くのだろうか。
「ティア様…」
ヒリッシュが扉を叩き、顔を覗かす。二人が居るのを見て扉の向こうを指した。
「星見が訪れております」
「ユリシス様が…?」
視線をサイバスに投げると、頷いて行くように促す。星見はアトランティス最大の謎であり、影。ティアは直接会ったことはない。
胸騒ぎを抑えて走った。
「健やかにお育ち下さっているようで、嬉しいですわ」
走っている最中に、何かの引力に惹かれ振り返った先に星見は居た。
頭の先から爪先までの隠す大きな外套で姿を隠している。年齢は元より、性別や顔も分からない神秘さに優雅に立つ影。
ゆっくりと一歩、ティアが近づくと星見も近づいた。
「ユリシス様ですね…」
「私の真名をご存知とは恐れいるわね…二度目、ましてね…」
顔を隠していた包を取ると、ティアはきょとんとした。
「覚えてないのは仕方ないわね…貴女とても幼かったし」
小さく笑うと誰かに、―――似ている。いや、似ているではないく。
唇を噛み締めて瞳を閉じる。杞憂であればいいと思うほど、強く心音に訴えかける不安。捻じ伏せて祈れば、―――届くのだろうか。
「ティア様…」
ヒリッシュが扉を叩き、顔を覗かす。二人が居るのを見て扉の向こうを指した。
「星見が訪れております」
「ユリシス様が…?」
視線をサイバスに投げると、頷いて行くように促す。星見はアトランティス最大の謎であり、影。ティアは直接会ったことはない。
胸騒ぎを抑えて走った。
「健やかにお育ち下さっているようで、嬉しいですわ」
走っている最中に、何かの引力に惹かれ振り返った先に星見は居た。
頭の先から爪先までの隠す大きな外套で姿を隠している。年齢は元より、性別や顔も分からない神秘さに優雅に立つ影。
ゆっくりと一歩、ティアが近づくと星見も近づいた。
「ユリシス様ですね…」
「私の真名をご存知とは恐れいるわね…二度目、ましてね…」
顔を隠していた包を取ると、ティアはきょとんとした。
「覚えてないのは仕方ないわね…貴女とても幼かったし」
小さく笑うと誰かに、―――似ている。いや、似ているではないく。