硝子の挿話
第15章 暗夜
一気に捲くし立てて話した反動か、肩で息を繰り返す。向けられた視線にサイバスは頷く。
「手の空いている者に車で運ばせましょう」
「助かります…」
胸元に手を当てて微笑みを浮かべたティアは、サイバスの視線が向けられているのを見て、辿った先に自分の露出している足があった。
「っ!!」
「お気をつけなさい…」
くすくすと笑うとティアの顔が更に赤味を増していく。足を押さえてサイバスを見た。
「落ち着かれたか?」
「はい………」
興奮するとひとつのことしか見えなくなるティアに、少し力を抜かせる為に出された冗談だと分かっていても恥かしい。落ち着きはしたものの、頭の中が掻き回されている現状に、サイバスは赤くなったまま俯いている頭をそっと撫でた。
「そろそろ禊と着替えをなさるといい…そろそろ各宮からも来られるだろう」
祭りの開始は天上の一番高い位置に太陽が来て行われる。雨や曇りでも大丈夫なように、水耀宮大神殿には水時計があるので、開始時間が分からないということはない。
「後のことをほぼ任せて構いませんか?」
「その為に私が此処に残ってます。本当であれば、講堂にてティア様の演舞を拝見したかったのですが、覚えておいて下さい」
静かに切り出すと、ティアの前に両膝をついて、白く小さな手を握った。
「手の空いている者に車で運ばせましょう」
「助かります…」
胸元に手を当てて微笑みを浮かべたティアは、サイバスの視線が向けられているのを見て、辿った先に自分の露出している足があった。
「っ!!」
「お気をつけなさい…」
くすくすと笑うとティアの顔が更に赤味を増していく。足を押さえてサイバスを見た。
「落ち着かれたか?」
「はい………」
興奮するとひとつのことしか見えなくなるティアに、少し力を抜かせる為に出された冗談だと分かっていても恥かしい。落ち着きはしたものの、頭の中が掻き回されている現状に、サイバスは赤くなったまま俯いている頭をそっと撫でた。
「そろそろ禊と着替えをなさるといい…そろそろ各宮からも来られるだろう」
祭りの開始は天上の一番高い位置に太陽が来て行われる。雨や曇りでも大丈夫なように、水耀宮大神殿には水時計があるので、開始時間が分からないということはない。
「後のことをほぼ任せて構いませんか?」
「その為に私が此処に残ってます。本当であれば、講堂にてティア様の演舞を拝見したかったのですが、覚えておいて下さい」
静かに切り出すと、ティアの前に両膝をついて、白く小さな手を握った。