硝子の挿話
第16章 素懐
サミアは明るく笑いながら続けた。
「ユアにはもう言ったんだけど、私星祭が済んだら結婚するのよ。…勿論神子候補を生む約束の特例での事、なんだけどね」
言葉が終わるとほぼ同時に、後ろから長身の男性が現れ紹介された。
聞くところによると、司祭の子供で現在は神官として、同じ神殿に在籍しているらしい。
「今妊娠中だから…激しい踊りとか無理で、私の後継者が踊るんだけど、祭りが終わったらすぐにでもするつもりなのよ。よかったら来て欲しいと思って…どうかしら?」
突然の言葉だったが、サミアの胎内で育つ命がいる。そして隣に立つ背の高い青年を、サミアは選んだのだと思うと、とても素直に喜ばしいことだとティアは、順番として祝いの言葉の後に、是非にも参加する旨を伝えた。
「よかったわ。一番前で身体が許す限りは見ているから」
「駄目だよ!時間が来たら退場!もし何かあったらどうするんだよぉ」
宿っている命は彼の子供でもある訳で、妻となるサミアをとても愛しているのだと見て分かった。
流石に小さな命を宿した身体で無理はしてほしくない。ティアも一緒になって頷いているのだが、サミアは苦笑してる。
「只でさえ無理しいなんだからっ」
更に畳み掛けるように、却下を連続で繰り返す。
「もう、うるさいわよ!カラ」
何故だろう。
端から見ていると、そこに愛情があるのかどうか、疑ってしまいそうな扱いなのだが、カラは全く気にしていないようだ。というか、めげていない。
なおも必死で言い続けるカラに、流石のサミアも「分かった」を繰り返す。
太陽宮は女性が強い土地柄だと、以前にユウリヤが言ってたことを思い出し、なんとなく納得してしまったティアだった。
「そろそろ行かないと…」
講堂に集う人々も少しづつ増えだし、調律を始める楽隊の音が聞こえ出していた。
†
ベルベットを敷き詰めた講堂は、建物自体が金を初め、銀や錫で飾られている。
「ユアにはもう言ったんだけど、私星祭が済んだら結婚するのよ。…勿論神子候補を生む約束の特例での事、なんだけどね」
言葉が終わるとほぼ同時に、後ろから長身の男性が現れ紹介された。
聞くところによると、司祭の子供で現在は神官として、同じ神殿に在籍しているらしい。
「今妊娠中だから…激しい踊りとか無理で、私の後継者が踊るんだけど、祭りが終わったらすぐにでもするつもりなのよ。よかったら来て欲しいと思って…どうかしら?」
突然の言葉だったが、サミアの胎内で育つ命がいる。そして隣に立つ背の高い青年を、サミアは選んだのだと思うと、とても素直に喜ばしいことだとティアは、順番として祝いの言葉の後に、是非にも参加する旨を伝えた。
「よかったわ。一番前で身体が許す限りは見ているから」
「駄目だよ!時間が来たら退場!もし何かあったらどうするんだよぉ」
宿っている命は彼の子供でもある訳で、妻となるサミアをとても愛しているのだと見て分かった。
流石に小さな命を宿した身体で無理はしてほしくない。ティアも一緒になって頷いているのだが、サミアは苦笑してる。
「只でさえ無理しいなんだからっ」
更に畳み掛けるように、却下を連続で繰り返す。
「もう、うるさいわよ!カラ」
何故だろう。
端から見ていると、そこに愛情があるのかどうか、疑ってしまいそうな扱いなのだが、カラは全く気にしていないようだ。というか、めげていない。
なおも必死で言い続けるカラに、流石のサミアも「分かった」を繰り返す。
太陽宮は女性が強い土地柄だと、以前にユウリヤが言ってたことを思い出し、なんとなく納得してしまったティアだった。
「そろそろ行かないと…」
講堂に集う人々も少しづつ増えだし、調律を始める楽隊の音が聞こえ出していた。
†
ベルベットを敷き詰めた講堂は、建物自体が金を初め、銀や錫で飾られている。