硝子の挿話
第16章 素懐
前半三時間という長い時間をティアは物語の体現で踊りきった。
舞台そでから裏を通り、講堂中央へ続く扉を開ける頃には、ハープの音が講堂に流れていた。
残りは後半の二時間だが、その前に疲れた身体を休める休憩が用意されていた。
「前半は無事終了しましたね…」
小さく呟く。流れた汗を拭き、失われた水分補給。それから食事をする為に三時間ほど与えられている。
ティアの休憩には、三人のハープ奏者の音が流れ、選出された三名の巫らが交互に舞う。
それぞれの願いや、希望を胸に抱きながら、ハープの音に包まれるのだ。
「見事だったわ、流石よね」
「前回の星祭の時よりも、動きが滑らかだった」
舞台から戻ってくるティアは、招かれるままに、ユア達の隣に座って、用意されている水で喉を潤した。
全身全霊で踊ることは、ティアにとって苦でなく楽。それが見ている方にも伝わるのか、誉められて少し照れてしまう。
「私は舞いとかは苦手だから、今回外れて実は嬉しかったりするのよねぇ…」
「そんなことないですよ」