無料で楽しめるちょっと大人のケータイ小説

　何度も頷いて約束を交わし終えた所でサミアが戻ってきた。
「あら、まだユアは戻っていないの？」
　隣に無理やり引っ張ってきたらしいカラの姿があった。
「向こうでお腹空いた空いたとうるさいから、果物分けてもらおうと思って」
「だったら今は休憩中ですし、こっちで食べてはいかがです？」
　にっこりと笑いティアは、小さめの皿に盛り付けられているのを、持ち上げてカラに差し出した。
「うわ！めちゃいい娘さんや～…俺の娘もこうなったらいいなぁ～」
　まだお腹も目立っていない子供の性別は、女の子と決めているらしい。ティアはどう返していいか、皿を持ったまま固まってしまった。

「ごめんね、食事与え終えたら向こうにやるから、ちょとだけ我慢してね」

　にっこりと笑いながら、その手で剥いていたバナナをカラの口に押し込んだ。
「…えっと、あの、…私、平気ですから…その…」
　こういう扱いに彼は、慣れているのだろうか。それともこれが二人の意思や感情の伝達行為なのだろうか。
　もぐもぐと口につっ込まれたバナナを「美味しい」と言いながら食べている。―――きっと、そうだとティアは、思ってとりあえず返す反応に困ったので笑ってみた。