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あなたを三番目の男のままにすればよかった

第1章 私と彼の安寧な世界



まばらに通る車が、私を、見る。
私にはあなたたちなんか目に入らない。私は彼しか見えていないし見たくない。
夜の女の仕事終わりは、愛おしい人としか会いたくないもんだ。そのはず。

シルエットは、いくつも。
窓の近くなら、分かるのに。
彼はわからない。
混み合っている様子は、分かる。

ああもう、気づいてほしい。けど気づかれて、見上げてることがバレるのも嫌だ。

ただただ、目を合わせたいだけだ。


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