あなたを三番目の男のままにすればよかった
第1章 私と彼の安寧な世界
この春すべて私が選んだことだ。
通信制の高校を卒業して、夜の仕事に距離をおき、昼の正社員に就いたことも。
お硬い職場を辞めて、常連だったダーツバーの正社員になった彼といることも。
ただ時間にも環境にも負けないと思ってた想いが、こんなにも炎のように揺らぐのが、苦しい。
会社に着いてから、彼に連絡をいれる。重たくならないように、意識を、して。
ごはんテーブルの上よー!
この一文、だけ。
言葉なんかくそみたいに、ほんとうに垂れ流したいぐらいにいっぱいあるのに、彼に受け入れてもらえる言葉はわずかだ。
私の精一杯の、帰ってきて、帰ってきてほしかったが詰まった一文だと、我ながら。