あなたを三番目の男のままにすればよかった
第1章 私と彼の安寧な世界
そうよー!
今日0時で帰るー!
一度これだけで送信して、立て続けにメッセージを送る。
何時ごろに、帰ってくる?
それだけ送る。
やっぱりすぐに、返信はこない。
彼は彼の望んだ職場で楽しく仕事をしているだろう。
待機席につく。他の女の子と横並び。高級感のあるお店の、本革仕様の、ソファ。
「椿ちゃん、いくよ」
ボーイに声をかけられて、顔を上げる。はい、と返事をして立ち上がる。
お客さんのいる、男のいる卓につけば、この寂しさは少しは紛れる。