あなたを三番目の男のままにすればよかった
第1章 私と彼の安寧な世界
「椿ー!久しぶりー!」
飲んでたお店の外まで出てくれた彼が、私を見つけて笑顔をつくってくれる。私も笑顔になる。
「鈴木さーん!久しぶりっ」
勢いよく、親愛を示すように抱き合う。
「といっても、おとといぶりくらい?」
彼の腕の中から顔を上げる。そうだね!そう言って額にキスをされる。
「飲むか!けっこう盛り上がってるぜ」
鈴木さんは30代前半で、顔はととのっている。ラフに着崩したスーツ。お金にも余裕がある人で、遊び方も好きで、夜をはじめたばかりの頃に知り合って、なかなか好きなお客さんだった。