テキストサイズ

あなたを三番目の男のままにすればよかった

第1章 私と彼の安寧な世界


開けたままのカーテンから朝の光が眩しいくらいに部屋に注いでいる。

まだ彼が寝て少ししか経っていないだろう。私も、眠らなければ。また夕方から仕事だ。

立ち上がって脱衣所へ向かい、寝巻きに着替えた。厚く塗られた化粧はわざと落とさない。彼が起きた時に、ああ出かけてたのかと実感して、私を遠く感じてほしいから。
肌には、悪いけれど。

寝室に布団は一組しか敷いていない。彼がど真ん中に独占している。壁際の方に、布団をまくりあげて潜り込む。

起きる気配はない。むしろ爆睡だ。残念な気持ちになりながら、彼の体に絡みつく。

ああ私ばかり、求めている。

おやすみなさい、拓也くん。
起きたらすぐ、お互い仕事ね。

本当に少しも、起きてくれやしないのね。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ