あなたを三番目の男のままにすればよかった
第1章 私と彼の安寧な世界
欲しがってないこと。望まないこと。それは限りなくワガママなことだと最近になって気づいた。だって、欲しいそれ以外を拒絶することなのだから。
あなた以外は、いらない。
「今日も仕事?」
私が尋ねると彼はいつものように、そうだよ、と言う。
「今日も5時から」
「そっか。今日同伴なの、19時待ち合わせ」
予定を聞かれてないのに教える。ああ何かリアクションくれたっていいのに、なにもくれやしない。
がんばってね、しか言わない彼はどれだけ余裕なのだろう。
「ご飯、どうする?」
「なんかあるー?」