あなたを三番目の男のままにすればよかった
第1章 私と彼の安寧な世界
2人してのそのそとリビングに移動する。床に置かれたソファに並ぶ。
彼は本当に、まったく台所事情を把握していない。
「作り置きのほうれん草の煮浸しと、あと、茹でればパスタがあるよ」
彼はリアクションをしない。しばらく沈黙して。
「さーいしょっは、ぐーっ!」
じゃんけんぽん!
と私が勢いよく出した声に、とっさに彼がパーを出した。私はチョキ。
「よっしゃ! お願いしまーす!」
笑う。えー、と彼の口が尖る。
作ってよー、低い声が甘える。
「やだやだー、拓也くんのパスタが食べたいな」
甘えた声を出して、笑う。
しばらくこんな押し問答をして、はいはい、と彼が立ち上がる。
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