ドロップ・オブ・ロゼ 〜薔薇の涙〜
第1章 天使…時々、小悪魔?
突然、千陽さんが絵筆とパレットをしまい始める。
「あれ?もう描かないの?」
千「うん。お腹がすきすぎて、頭が回んなくなってきたし。」
「そう言えば…」
と、今さら空腹を感じる腹を擦った。
千「誰かさんが来るなりいきなり始めちゃいましたからね〜?」
「…すいません。」
覗き込んでくる笑顔に思わず顔を反らしてしまう。
千「でも、いいや。こんなすごいプレゼントもらったんだし?」
千陽さんは立ち上がり、薔薇の花の前に膝まづいた。
千「白は白で綺麗なんだけど…」
細い指先で一輪だけ引き寄せる。
千「うん。いい香り。」
うっとりと目を閉じる姿に暫し見惚れる。
千「あっ!!そう言えば、ケーキは?」
「あ…」
やべ。プレゼントのことしか頭になかった。(汗)
甘いものが大好きな千陽さん。
少し涙目な感じで俺を睨み付けた。
千陽さんは無言で、俺と目を合わさぬまま立ち上がり、無言でキッチンに消えて行く。
…怒ってる。
ありゃ、怒ってるわ、絶対。
でも…
千「圭太、早く来なよ!」
「えっ?はっ、はい。」
慌てて下着とズボンを身につけ、キッチンへと走る。
するとそこには、ところ狭しとテーブルに並べられた料理の数々が。
千「さっさと食べよう?腹ペコで死にそう!」
千陽さんは我慢できない、とばかりに冷めたままの料理を口の中に掻き込んだ。