ドロップ・オブ・ロゼ 〜薔薇の涙〜
第9章 二人だけの卒業旅行
ぱらぱらと人が集まり始めた大浴場。
辛うじて空いていた洗い場を確保すると急ぎ髪と体を洗い、もうもうと湯気が立ち上る湯の中に身を投じた。
白く霞む天井をボンヤリ眺めていると、
手団扇でぱたぱたと扇ぐ度に、煽られた生乾きの髪から覗く白くて細い項が目の前にチラついた。
あの女の子みたいに華奢な体を腕の中に収め、あの項に触れてみたい。
項にかかる髪を掻き上げ、唇で触れてみたい。
見た目通り、女の子みたいに柔らかいのかな?
どんな顔すんのかな?
どんな……声出すのかな?
…なんて、
そうしたら、また、いつものように反応してしまった。
人目を憚るように、手拭いで股間を隠しながら急いで風呂場を出トイレの個室にに駆け込んだ。
興奮しすぎだろ?俺?
などと戒めながら個室から出た。
出すもん出したら後はため息しか出てこなくて、
罪悪感から足取りさえも重く感じた。
あの人は、初めてのオトコが俺でいいんだろうか?
俺みたいなガキに抱かれても。
ただただヤりたい盛りのくそガキの俺に。
でも、ここまで一緒に来てくれた。
俺でもいい、って思ったから来てくれたんだ、って、
そう思おうとすればするほど、
部屋に戻る道のりがとてつもなく遠く感じた。