ドロップ・オブ・ロゼ 〜薔薇の涙〜
第9章 二人だけの卒業旅行
これは、夢?
てか、妄想?
…そうだ、そうに違いない。
で、また、いつものようにトイレに駆け込んで…
でも、唇に残る感触がやけにリアルで、夢でも妄想でもないことを物語っていた。
千「どうしたの?不思議そうな顔して?」
目の前には平然と微笑むあなたがいて、
また、エッチなこと考えてたんでしょ?って言うんだ。
「また…って…」
千「ホントのことじゃない?僕が何にも知らないとでも思ってるの?慎之介くんから聞いてるよ?色々と。」
あんのバカ、と小声で毒づく。
千「いい友達だね?慎之介くん、て。」
彼の頭を掻き抱くようにして頭を持ち上げると、奪うようにキスをした。
例え親友と言えど、褒めることはおろか、その名前を口にすることさえ嫉妬してしまう。
千「やだっ……けい……ちょ……苦し…。」
軽く触れるみたいなキスばかりで慣れてしまったあなたは、ビックリして俺を押し退けようとする。
抵抗する力が弱くなった、と思ったら、抗議するような声はいつの間にか甘い音律に変わっていた。
それに満足して彼の唇を解放してやると、今度は彼の細い腕が俺の体を引き寄せる。
「でも…ホントにいいの?俺なんかに…。」
千「何度も言わせないで…。」
消え入りそうな声で答えた彼の体を抱き上げ、布団の上に静かに横たえた。