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ドロップ・オブ・ロゼ 〜薔薇の涙〜

第10章 分かれ道



「はあっ……んっ…」



圭太の腹の上に両手をつき、体を支えながら屹立を自分のナカへと収めてゆく。



そして、完全に圭太のモノを迎え入れた僕の口からは甘苦しいため息が漏れた。



「ねぇ……動いても…いい?」



瞼を固く閉じ、微かに開かれた圭太の唇からは承諾の言葉さえ聞けず、首だけが縦に動く。



構わずに腰を上下左右に揺らすと、キュッと絞まった入り口に屹立が擦れて気持ちいい。



圭太も気持ちいいのか、ため息にも似た声を漏らしながら逞しい喉を反らした。



ほんと、綺麗…。



昔、夕闇迫る美術室で、



ギリシャの男神を象った石膏像にキスをした。



日本人の僕らにはない、彫りの深い顔立ちや、触れるとフワフワと気持ち良さそうな髪の感じだとか、



胸板の厚さだとかに惹かれた。



授業に託つけて触りまくっていたら先生が勉強熱心だねと苦笑した。



それからは、僕の隠れた性癖を見抜かれたのかも、って思って、人目のあるところでは触れなくなった。



でも、忘れ物を取りに学校に戻ったあの日、



通りがかった美術室の前で足を止め、



施錠し忘れたドアを開け美術室に足を踏み入れた。



引き寄せられるように、傾きかけた陽光に照らされるその綺麗な顔に触れ、



そしてとうとう堪えきれずに、肉厚で、扇情的な唇にキスをしてしまった。



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