
ドロップ・オブ・ロゼ 〜薔薇の涙〜
第11章 もう一つの恋
こんなことぶっちゃけると、俺ってば友だちのことが好きすぎるただのアブナイヤツ、みたいに映るかもしんないけど、
実はそうじゃない。
俺としては、アイツのせいで泣く人間を増やしたくないだけで、
その想いだけでアイツの傍にいるだけなんだ。
だから高校も学科は違うけど同じ学校に進学したし、
授業以外は大体アイツの傍にいる。
それでも、アイツのご乱行を完全に押さえ込むことはできなくて、
アイツのために泣く女はいなくならない。
ところがそんなある日、ヤツから一本の電話がかかってきた。
ある人の自転車を直してほしい、と。
「ライトさえ直しゃあイケるかなあ?」
その自転車は、
ライトがぶっ壊れている以外は目立った破損が見られなくて、
素人目には分からないぐらいのキズさえどうにかしたら新品同様の代物だった。
「んじゃ、これ、二、三日中にお前んとこ持っていくわ。」
圭「いや…明日には持って行ってあげたいから。」
「ん?何だ?急ぎか?」
圭「うん…。」
「ふーーん…?」
急に言葉少なになってしまったヤツをチラと見やると、耳まで真っ赤だった。
ほー…これはこれは。
ひょっとしてひょっとするか?
圭「な、何だよ?」
「…もしかして女か?」
圭「まっ、まさか…?」
さらに赤い絵の具を顔に塗りたくったように、アイツの顔が赤くなった。
