
ドロップ・オブ・ロゼ 〜薔薇の涙〜
第11章 もう一つの恋
慌てて立ち去ろうとする彼を送っていけと親父に怒鳴られ、しぶしぶ送っていく体で彼に駅まで付き従った。
道すがら、圭太の話をしながら歩いた。
圭太とは小学校の時、同じ野球クラブにいた時からの付き合いだということ、
アイツには自慢の兄貴がいて、
中一の時にその兄貴が溺れた圭太を助けようとして亡くなったこと、
それ以来、野球を辞めてしまったことなど。
彼はひどく驚いていたが、何やら思い当たる節があるみたいで納得している風にも見えた。
圭太のことでまだ何か知りたいことがあるか、と聞いたら、
千「あの…圭太くん、って…その……アッチの人…なのかな?」
…それって、つまりは圭太がアレか。男が好きかどうか、ってこと?
今まで付き合ってきたのが女ってことを考えたら違うような気もするけど、
もし、その気があるんだとしたら「タチ」の方だろうな?アイツの性格からして。(←それぐらいの知識はアリ?)
男にホラれてアンアン喘いでいる姿なんて想像できねぇし、見たかねぇし。
だから、
「好き…かもしんないなあ。…アンタのことは。」
って言ったらスゲー驚いてたし、困ってた。
だからこの人、そういう趣味の男にモテそうだけど多分ノンケなんだろな?って。
だったら、自分は興味ございません、って突っぱねたらいいじゃん?て言ったら複雑そうな顔してたから、
まさか、とは思ったけど…
そのまさか、だったとは…。
