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ドロップ・オブ・ロゼ 〜薔薇の涙〜

第11章 もう一つの恋



てな感じで二人がくっついたのはよしとして、



この、喉元に引っかかってるモヤモヤしたものは何だ?



二人が一緒にいるだけで倍増するみたいな錯覚を起こす。



「錯覚じゃないんじゃない?」



なのかなあ……ん?



「おわっ!?ミ、ミチ子さん!」



千陽センセがいない日を見計らってやってきたコンビニ。



「んふふふ。気になってるんでしょ?あの二人のこと。」


「は?ど、どういう意味かなあ?」


「んもー、惚けちゃって?慎之介くんの圭太くんを見る目、まるで殺し屋みたいよ?」


「き、気のせいじゃない?」


「そーお?」


「そうっすよ?あはは…」



そう、気のせいなんかじゃない。



俺はあの日からずっと、


アイツが初めて女を泣かした時からずっと、



俺はアイツを…圭太をぶっ殺してやりたい、って思ってた。



兄貴が死んで、親に兄貴の代わりを強要されて、そのフラストレーションを晴らすみたいに言い寄ってきた女を取っ替え引っ替えするアイツを。



『ごめんね?慎之介。それでも私、彼が好き。』



そう言って、差し伸べた俺の手を取ることなく去っていった彼女の小さな背中を俺は、



今でも忘れることができずにいた。



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