
ドロップ・オブ・ロゼ 〜薔薇の涙〜
第11章 もう一つの恋
今でこそ俺はチャラチャラした年増好きの自転車バカ、で通っているけど、
昔はそうじゃなかった。
普通に部活してたし、そこそこ勉強もしてたし、
好きな女もいた。
もちろん、年増じゃなくて同級生。
家も近所で付き合いは圭太よりも長い。
お袋を早くに亡くしていたから何かと世話を焼いてくれて、男所帯にはありがたい存在だった。
「京ちゃん、慎之介は?」
「まだ寝てる!!」
「んもぉ、あの寝坊助め!!」
当時から俺は自転車に夢中で、専門雑誌を時間も忘れて読み耽っていることが多かった。
「こらっ!!いつまで寝てんの!遅刻するよ?」
「何だよ…朝練が休みの日ぐらいゆっくり寝かせろよ…」
すると、決まって…
「うわっ!!」
シーツごと体を引っくり返される。
「なっ…り、凛々子、テメ、よくも…」
「朝練がなくても学校があるから。」
ご飯、出来てるよ、と笑いながら部屋を出ていった。
ったく、お袋か、とツッコミながら着替えて台所へいくと、
制服の上からエプロンを着けたアイツが味噌汁をよそっていた。
「やあーっと起きてきた。」
目、覚めるよ?と、凛々子は俺の目の前に味噌汁が入ったお椀を置いた。
