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ドロップ・オブ・ロゼ 〜薔薇の涙〜

第11章 もう一つの恋



「な、なあんだ、直江のダンナじゃないですか。」


圭「で?何喋ってたんだ?」


「なあに、ダンナと凛々子がどこまでいってるのか、確認ですよ?」


圭「俺と凛々子がどこまでいってるか、って…?」


圭太はニヤリと笑い顔を近づけ声を潜めた。



圭「…ディズニーランド、だ。」


「あっ…ああ…さようで?」



…ベタな返し方だな?



内心、舌打ちする。



圭「ま、そのうち、いい報告が出来る、と思うよ?」



勝ち誇ったような顔で俺の肩をぽんぽんと叩き、目の前を歩く凛々子の元へと走りよる。



おはよう、と言葉を交わし、見つめ合う。



見つめ合ったまま指と指とを絡め合う。



そこには俺の知らない二人の時間が存在する。





でも、圭太、お前、知らないだろ?





凛々子のその綺麗な手を、お前が繋ぐ以前に俺と毎日のように繋いでいた、ってことを。





凛々子、お前も気づいてないんだろ?



そんな昔から、俺がお前のことを好きだった、ってことを。





遠ざかってゆく二人の背中を俺は、









握りしめた拳をズボンのポケットに突っ込んだままずっと見ていた。


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