
ドロップ・オブ・ロゼ 〜薔薇の涙〜
第2章 マドンナ・ブルー ①
千陽side
「しっ…島崎くん!?」
青ざめた顔をした店長が僕に駆け寄ってきた。
「島崎くん、大丈夫?ケガ、してない?」
「は、はい。」
奥から先輩女性店員も慌てて飛び出してきた。
「良かった!!島崎くん、無事で!!」
「は、はあ…」
二人とも、半分泣きそうな顔で、良かった良かったと、
僕の体を労るように、頭や肩を撫でてくれた。
「怖い顔して外出ていくからどうしたのかと思ったら…。」
「そうよ!!あんなガラの悪い学生相手に!?殴られでもしたらどうするの?」
「だって…あの子達、店の前でタバコ吸い始めるから…」
「何言ってるの!?そんなこと、店長に任せておけばいいのよ!」
「え゛っ……?」
「でも…」
「とにかく、もうあんな危ないことしちゃダメ!分かった?」
「…はい。」
念を押されるみたいに頭をぽんぽんされてしまう。
僕、こう見えても大学生なんだけどな?
僕の回りの大人はみんなそうだ。
見た目で僕を子供扱いする。
ここでバイトを始めたばかりの頃は、常連らしい年配の男性に、中学生じゃないのか、と、しつこく聞かれたりもした。
そのぐらい、僕の顔は幼く見えるらしい。
