
ドロップ・オブ・ロゼ 〜薔薇の涙〜
第2章 マドンナ・ブルー ①
だから、という訳じゃなかったけど、曲がったことが人一倍大キライで、
厄介ごとに首を突っ込んでは結果的に周囲を振り回していた。
だから、今回のことも、僕的にはすごい我慢していた。
…つもりだった。
つもりだったけど、あの子達のうちの一人がタバコを吸い始めたのを見て、
僕の中で、辛うじて保てていたものがぷっつりと音を立てて切れた。
まだ、明るいうちから店の前で屯するのは百歩譲って許せたとしても、
タバコはダメじゃん!?
先輩女性店員の制止する声も無視して、
気づいたら、僕はタバコを吸う男の子の背後に歩みより、咥えたタバコを奪い取っていた。
一斉に突き刺さる彼らの視線。
でも、自分は間違ったことをしていない、という自信が僕の気持ちを後押ししてくれた。
「君、高校生…だよね?」
何か言いたげに睨み返されるが、数に怯んじゃいけないと気持ちをさらに奮い立たせ、側にあった灰皿にタバコを捨てた。
「昼間からこんな人目のつく所で…そうでなくても、高校生が堂々とタバコ吸ってるのはどうか、と思うけど?」
