
ドロップ・オブ・ロゼ 〜薔薇の涙〜
第14章 迷宮の中で
まさか…加納雅のことも…
「あの…他には?何も聞いてない?」
圭「え?他、って?もしかして、学校以外でもストーカーされてんの?」
「あっ、じゃなくて…もしかしたら、僕が気づいていないことも知ってたりするのかなぁ、なんて?」
よかった…加納雅のことは知らないみたい。
ホッとしたのも束の間、圭太の手が僕の手を握りしめたままだということに気づき、慌てて手を引っ込める。
圭「ご、ごめん、つい…」
「う…うん。」
さっきまで圭太に握られていた手のぬくもりが恋しくなって、またすぐに触れたくなってしまう。
『一緒に暮らそう。』
あんなこと言うから余計に…
さらりと金色のブレスを撫でた。
「あの…今日、さ、このあと何か予定とかある?」
圭「ない…けど……?」
「へぇ…そう…なんだ?」
圭「う、うん。」
「もう、出よっか?」
結局、また、あのぬくもりに包まれたくて僕は、圭太を部屋に誘ってしまった。
部屋に入ってすぐ、電気のスイッチを探す手を絡め取られて体を引き寄せられる。
「ここ、玄関だって…」
そう言ったにも関わらず、頬にかかる息が段々と近づいてきて、
ゆっくりと唇に覆い被さってきた。
