
ドロップ・オブ・ロゼ 〜薔薇の涙〜
第15章 訪れる危機
慎「あのレストランは、日本にいた時の凛々子の友だちが予約してたらしいぜ?」
「そうだったのか…」
慎「ま、あんなとこで会うなんて、運が悪かったな?」
慎之介も驚きを隠せないでいた。
「お前、凛々子がこっちに来てること知ってたか?」
慎「いや?そもそも今日知ったばっかだから。」
母親を早くに亡くしていた凛々子は高一の時、親父さんの仕事の関係で渡米していて、
凛々子の渡米前に別れていた俺は、本人からではなく慎之介から聞いて知っていた。
「凛々子のやつ…ずっとここにいるのかな?」
慎「さあ…?何ならそれとなく聞いといてやろうか?」
「いや…まあ…うん、聞けたら…」
慎「圭太。」
「あ?」
慎「お前、別れる時、凛々子に何て言ったんだ?」
「な…何だよ?今さら?」
慎「今さらだから聞いてんだけど?」
「他に好きな奴が出来たから、って…」
慎之介の真意を図りかねて、少し苛ついた気分になる。
慎「ふーん、なるほど、ね?」
慎之介は徐に尻ポケットに手を突っ込むも、全席禁煙の掲示を見付けて舌打ちした。
慎「お前はもう、忘れてっかも知れねぇけど、お前から凛々子、口説いたんだからな?」
