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ドロップ・オブ・ロゼ 〜薔薇の涙〜

第17章 甘くて苦い媚薬



青ざめる俺を心配そうに見つめる千陽さんに一言言い置いてから側を離れた。


「お前が何でこの番号を?」


凜『いいじゃない、そんなこと。それより、今、もしかして愛しの千陽センセと一緒?』


「関係ないだろが!?」


凜『それが関係あるのよねぇ…』



電話の向こうで意味深に笑う凛々子の顔が浮かぶ。



凜『あなたが愛してやまない千陽センセ、って、ホントにあなただけなのかしら?』


「は……?どういう意味だよ!?」


凜『お付き合いしてるのはあなただけなのかしら、ってことよ?』


「そんなこと…!」



当たり前だろ、と反論しかけて、何故かそのあとの言葉が続かない。



凜『千陽さんも一応、あなたと同じ男よね?』


「な…何が言いたい?」



電話の向こうで声を押し殺して笑う様子に、苛立ちよりも言い知れぬ恐怖さえ感じる。



凜『電話じゃ話せないなあ。』


「な…に?」


凜『ねぇ、会わない?』

「は……?」



なるほど、それが目的だったか、と、さっき感じた恐怖感が嘘みたいに霧散する。



凜『もし、会ってくれるならさっきの話…』


「…悪いけど、ホントかどうか分かんねぇ話聞くためだけにお前と会う訳にはいかないから。」


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