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ドロップ・オブ・ロゼ 〜薔薇の涙〜

第18章 Pure White



千陽side


最近の僕は、回りから白い目で見られることが多くなった。



とは言っても、男と付き合ってることが回りに知られた訳ではなくて、



気付いたら時々スマホを眺めてはニヤニヤししていることが原因らしい。



いつもの昼休みも、



人目を避けるようにしてやって来た美術準備室でスマホに納めた動画を再生しては顔を綻ばせた。



「はあ…可愛い。」



動画の向こうで猫じゃらしと戯れているベルにしばし見入っていると入り口で人の気配がした。



「び…びっくりした。」


雅「最近、スマホ眺めてニヤニヤしてる、って聞いたから何を見てるのか気になって?」



いつの間にか僕の隣にやって来た加納雅がスマホを覗き込んできた。



雅「この子、千陽さんの猫?」


「引っ越しが済むまで預かってもらってるんだ。」


雅「引っ越し?」



ずずっ、と、牛乳パックのストローを啜った。



「ところで君、お昼は食べたの?」


雅「今、食べてる。」


「それだけ?」


雅「どうせあまり動かないから。」



と、唇をすぼめ、さらに大きく音を立てて吸い上げる。



雅「可愛いね?猫ちゃん。」



唇からストローを離して音を確認するように紙パックを振ってみせた。



雅「ねぇ…引っ越し、ってもしかして、彼氏と住むの?」



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