
ドロップ・オブ・ロゼ 〜薔薇の涙〜
第18章 Pure White
「もう…誰かに見られたらどうするの?」
彼女の体をそっと押し戻しながら笑う。
雅「その割には嫌がってなかったじゃない?」
「そんなことないよ?いつもいきなりしてくるから防ぎようがないだけ。」
雅「本当に?」
そう、彼女の言う通り、さっきのキスはイヤじゃなかった。
さっきのキスだけじゃない。
彼女とのキスそのものがだんだん嫌じゃなくなってきている。
慣れてしまった、というのもあるのかもしれないが、多分初めて彼女の涙を見たせいかもしれない。
報われない恋に悶え苦しむ姿が自分と被ったように錯覚したんだ。
僕たちは、どこか深い場所で繋がっている、って…。
「ねぇ…聞いていい?君はどうして女性にしか興味がないの?」
雅「女の人は柔らかくていい匂いがする。だから好き。」
「ちょっと…意外。お母さん…みたい、ってこと?」
一瞬、表情が曇る。
でもすぐに大人びた微笑を顔に貼り付けた。
雅「千陽さんこそ。どうして男の人なの?」
「どうして…かな?気づいたら彼のことが好きになってたから。」
自分の性癖を口にするなんて絶対にない、と思っていたのに、すらすら答える自分に吃驚してしまった。
