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ドロップ・オブ・ロゼ 〜薔薇の涙〜

第18章 Pure White



雅「千陽さんが惹かれる人、ってどんな人なのか見てみたい。」


「凄く普通だよ?」


雅「そうかしら?千陽さんみたいな素敵な人を虜にする人が普通なわけないじゃない?」


「でも、ホントのことだから?」



宥めるように、絹糸のような彼女の髪を撫でると擽ったそうに笑った。



…似てる。



艶々した黒髪を撫でながら僕は、膝の上で淡い空色の瞳で僕を見上げ、小さな声でニャア、と鳴くベルを思い出していた。



雅「あ…今、笑いました?」


「うん。似てるな?と思って?」


雅「誰に?」


「ウチの猫。ベル、って言うんだけど?」


雅「ああ、あの青い目の黒猫ちゃん?珍しいよね?」


「そうらしいね?」


雅「ふふふ。猫…みたい…か……ね、千陽さん?」


「うん?」



不意に彼女が僕の胸の中に顔を埋め、両腕を背中に回してきた。



雅「しばらくこうしていていい?千陽さんのとこの猫ちゃんみたいに?」


「…いいよ。サイズ感が違うけど?」



僕は甘えるように抱きついてきた彼女を、



教室の前の廊下に人の気配を感じるまでずっと抱きしめていた。

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