
ドロップ・オブ・ロゼ 〜薔薇の涙〜
第18章 Pure White
それ、って、圭太のやつ、知ってんのかな?
「あの…千陽さん。それって圭太は…圭太には相談してんの?」
少し困ったように笑って小さくかぶりを振る。
彼が困っているというのに、その彼に見惚れてしまう自分に嫌気が差す。
千「僕の顔に何か付いてる?」
「えっ?あっ!!いや、別に…」
不意にこちらに向けられた鳶色の瞳に、絡め捕られたように動けなくなる。
やっべ…変に思われたかな?
千「やっぱ…断ろうかな?」
「でも、描きたいんでしょ?」
千「そうだね…あんな綺麗な女の子をモデルに絵が描けるなんて、絵描き冥利に尽きるな、って?」
「へぇ…そんな綺麗なんだ?」
千「あっ!僕ってばさっき、自分のこと絵描きだなんて…」
そう言って、照れて笑う顔はもっと目が離せなくて、
もしまた目が合ったら、どんな言い訳も通用しない気がして、
今度は然り気無く目を逸らした。
「が…学校はダメなの?」
別に、疚しいことなんてしてないのに声が震える。
千「みんなに見られるのがヤなんだって?」
「見られたくねぇ、って…あれだな?美人、ってのはワガママだよなあ。あ…でも、千陽さんは別だけど?」
