
ドロップ・オブ・ロゼ 〜薔薇の涙〜
第18章 Pure White
千陽side
慎之介くんから、家の敷地内にある離れを使っては?と提案されたけど、
京四郎くんが加納雅と同じ学校だということもあるし、京四郎くんにも迷惑がかかると思い断った。
結局、彼女が祖父母と暮らす家で、となったが、絵を描く部屋はほぼ密室。
男性教諭と女子生徒が密室で過ごさなければならない、という問題は先送りされる結果になった。
雅「平気よ?お祖父ちゃんやお祖母ちゃんの他に通いの家政婦さんもいるし、まるっきり二人って訳じゃないから。」
問題はそれだけじゃないんだけど?と、内心苦笑したけど、
新しい部屋への引っ越しでバタバタの状態でそれどころじゃなかった僕は首を縦に振ってしまった。
「ごめん、今日、連れがいるんだけど…。」
雅「誰?」
僕は晴れて一緒に住めることになったベルが収まっているキャリーケースの中を見せた。
「ミャア。」
雅「まあ、可愛い。この子がベル?」
「そう。しばらく他で預かってもらってて。今日、引き取って来たんだ。」
雅「抱いていい?」
「いいよ?」
ベルは嬉しそうに加納雅が伸ばした腕の中に飛び移った。
