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ドロップ・オブ・ロゼ 〜薔薇の涙〜

第19章 二人と一匹な日々。



バスルームで一戦交えたのち、さすがに疲れ果てぐったりしている千陽さんを抱きかかえベッドに寝かせた。



それに反して、疲れていない訳じゃなかったけど、



最近、千陽さんが頻繁にベルと共に出掛けていることが気になってよく眠れないでいた。



『お付き合いしてるのはあなただけなのかしら、ってことよ?』



まさか…な。



もし、他の誰かと付き合ってんなら、俺に抱かれたりするはずないしな?



でも、最近、俺からじゃなく、千陽さんから誘ってくることが多いのは気になる。



また、眠れなくなりそうだな?と、苦笑いを浮かべた。



ベッドでスヤスヤと寝入っている綺麗な横顔にキスをしベッドを抜け出す。



足音を潜ませ冷蔵庫の前にしゃがみミネラルウォーターを取り出し喉を潤した。



暗がりでチリン、と鈴が鳴る音が聞こえたような気がして辺りを見回すと、足元にフワフワしたものが纏わりつく気配がした。


見下ろすと、すでに暗さに慣れてしまった目が青い瞳の黒猫を捉えた。



「ニャア。」



俺を見上げるソイツの目線に下りるみたいにその場でしゃがんだ。



「お前が人間の言葉を話せたらなあ…。」



床に尻を付け胡座をかくと、ソイツはちゃっかり俺の足の間に収まった。



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