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ドロップ・オブ・ロゼ 〜薔薇の涙〜

第19章 二人と一匹な日々。



暗闇に消えたベルの気配を感じなくなってから、男二人では小さすぎるベッドに眠る彼の隣に潜り込む。



薄暗い中、ほんのりと浮かび上がる白い彼の背中を抱き寄せると、肩甲骨がピクリと上下した。



千「びっくりした…」



振り向いた彼が俺を見て笑う。



「ごめん…起こした?」


千「ううん。ちょっと前に目が覚めて…」



気怠そうに笑った唇にキスをした。



千「ベルと何話してたの?」


「ん?別に?」


千「僕の悪口とかじゃないよね?」


「さあ…どうかな?」


千「何それ?感じ悪い。」



宥めるみたいに、唇を尖らせる彼を抱きしめた。



「ベルに…千陽さんのこと、どれくらい好きか、ってこんこんと言って聞かせてた。」


千「ふふっ。そうだったんだ?で?ベルはなんて?」


「俺に溺愛されている千陽さんが羨ましい、ってさ?」


千「へぇ…」



今度は彼から俺を抱き寄せキスをしてきた。



千「さてはベルも圭太に愛されたいのかな?」


「そっかぁ…ベルのやつ、猫なのに俺のこと……」


千「…冗談だから。」



両頬を挟むように置かれた綺麗な手に顔を引き寄せられる。



「ははは…ですよねぇ?」


千「ねぇ…そんなことより…」



頬に置かれた手が俺の頬をねっとりと撫でた。



見上げる目は熱っぽく潤んでいて、



千「抱いてよ…。」



俺は、誘うみたいに赤く濡れた彼の唇を強く吸い上げた。



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