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ドロップ・オブ・ロゼ 〜薔薇の涙〜

第20章 美少女の秘密



しばらく絵を描くことに集中し過ぎていた僕は、ふと顔を上げた時、辺りが暗くなっていたことに気づいて電気のスイッチに手を伸ばした。



絵が完成するまであと一手間。



でも、圭太が帰ってくるまでに帰宅しないと、と荷物をまとめる。



部屋を施錠し階下を見やると加納雅が丁度帰宅したところで、出迎えたベルと戯れていたところに出会した。



「お帰り。今日は遅かったんだね?」


雅「うん、ちょっと人と会ってて。もう帰るの?」



彼女の腕の中から抜け出したベルが、階下に降り立った僕の足下に嬉しそうに纏わりついてきた。



「そう。早く帰らないと…」


雅「もしかして、彼氏に怒られちゃう、とか?」



顔を上げ、微笑んだ僕に合わせられる視線に心音が跳ね上がる。



いつもは透き通るような白い肌が、今日はうっすらと色づいて唇はほんのり紅を置いたように艶々して色っぽくて、



今まで女の子にときめいた記憶がない僕にとっては、全く目の毒としか言いようがないその艶やかさに慌てて足下のベルを抱き上げ注意を逸らした。



雅「千陽…さん?」



小首を傾げ僕の名を呼ぶその声にさえ何故かドキドキして、



僕は彼女のことをまともに見ることができなかった。


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