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ドロップ・オブ・ロゼ 〜薔薇の涙〜

第20章 美少女の秘密



「お金以外に何かあるの?」


雅「そうねぇ…」



彼女は唇に人差し指を押しあてイタズラっぽく笑った。



雅「私………とか?」


「は……?」


雅「なーんて、ね?」



そう言って笑う顔にまた見惚れてしまう。



雅「じゃあ、彼氏によろしくね?」



手のひらをヒラヒラさせ、床に置いたままだった鞄を持ち上げ彼女は僕の脇をすり抜けてゆく。



が、急に何かを思い出したように立ち止まって僕を見た。



雅「ね…千陽さん、もし…もしもだけど…」



彼女は鞄を両手でぎゅ、と握りしめたまま前を見据えた。



雅「その…私が抱いて欲しい、って言ったら…千陽さん、私のこと…」


「え……?」



瞬間、驚いた僕と目が合うものの、すぐにふぃと逸らされてしまった。



雅「…ごめん。忘れて?」


「女の人しか愛せないんじゃないの?」



そのまま階段を上がろうとする彼女の背中に疑問を投げ掛けた。



雅「そう…だけど。でもどうしてかな?私、千陽さんだったらいいかな?って、思ったの。」



そう答える彼女は、たちどころに回りの人を虜にしてしまう妖艶な美少女ではなくて、



何処にでもいる普通の女の子に見えた。



「それはその…つまり、前に言ってた、僕に男を感じない、ってことかな?」


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