ドロップ・オブ・ロゼ 〜薔薇の涙〜
第3章 マドンナ・ブルー ②
「な、何やってる?はっ、早くしろ!!」
再び、僕の首もとに刃先が突きつけられた時だった。
その男の体がものすごい早さで後ろに飛んでいった。
え?な、何?
今度は何が起こったの?
暗がりに目を凝らしてみると、そこにはすらりとした人影が。
ゆっくりと足元の草木を踏みしめる音が近付いてきて、
暗がりでも、その人物の顔を確認することができた。
「こんなとこでストリップでもするつもりだったの?」
その声に、僕は慌てて胸元から手を離した。
「で、テメェはそいつをスマホで撮って、オウチで一人寂しくヌクつもりだったってことだよな?」
彼はその背後で尻餅をつき、無様にメガネをずらしたまま呆気に取られている男の方を向き、側にしゃがみこんだ。
「俺だったら、そんな回りくどいことしないなあ。せっかく自分で脱いでくれたんなら手っ取り早くヤッちまうかも?」
「なっ……!?」
思わず身を乗り出す。
ってことは、あの人の仲間?
「…なーんて、んなこと、するわけねーだろっ!!」
と、彼は男の襟を掴んで立ち上がらせ、男に向けて腕を大きく振り上げた。
ひぃっ、と男が短い悲鳴をあげた。
いけない!!
「ダメッ!!殴っちゃ!!」