
ドロップ・オブ・ロゼ 〜薔薇の涙〜
第21章 薔薇と百合の一夜 ①
放課後。
部活動を終えたあと、僕は彼女に指定された駅へと降り立った。
いつも乗り降りする駅から五つ先の小さな駅。
その、ホームにポツンとあるベンチに彼女はいた。
あの、例の白いワンピースを着た彼女が。
足音を忍ばせ近づいたつもりだったけど、僕の気配に気づいた彼女が此方を振り返って笑う。
雅「…行こっか?」
「ぅ…うん。」
ぎこちなく笑い返すと、細い手で僕の手をそっと握りしめてきた。
雅「この辺に可愛いラブホがあるの。」
「へ…へぇ?」
握る手が震える。
それが分かったのか、彼女は僕の顔も見ずに小さく忍び笑った。
「な、何?」
雅「だって…千陽さんてば童貞くんみたい…」
「わ…悪い?」
雅「クスッ。開き直るんだね?」
「…だって…」
雅「初めてだもんね?女子とするの?」
「…帰るよ?」
手を振りほどこうとして、逆に引き寄せられ口づけられる。
「ち、ちょっと!誰かに見られたら…!」
雅「誰か、って?」
「だから…」
二の句を繋ぐ前に、僕の唇はまたもや彼女に塞がれてしまった。
