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ドロップ・オブ・ロゼ 〜薔薇の涙〜

第22章 薔薇と百合の一夜 ②



バスルームから出ると彼女は退屈そうにテレビを見ていた。



でも、よくよく見てみると、悩ましげな声をあげながら裸の男女が絡む映像が映り込んでいて、



それを彼女は食い入るようにじっと見ていた。



僕は慌てて駆け寄り、彼女の手からリモコンを奪い取り電源を落とす。



「全く…何見てるのか、と思ったら…」



唇を尖らせ僕を一瞥すると、彼女はベッドに背中からダイブした。



雅「だって、退屈だったんだもの。」


「だから、って、いくらなんでも…」



少しサイズが大きいバスローブの紐の結び目を気にしながらタオルで髪を拭いた。



雅「ね…千陽さん、てば、どうせ脱ぐのにどうしてそんなもの着たの?」



聞こえない体で髪を拭いていた僕の背中から彼女が僕を抱きしめてきた。



雅「もしかして…怖い?」



背中越しに響く声。



手を止めしばらく言葉を探したあと僕は答えた。



「怖いよ?」と。



雅「痛い…かな?痛いよね?」


「怖いの?君も?」


雅「…少し」


「じゃあ…やめとく?」



背中越しにかぶりをふる気配を感じた。



雅「でも痛い、って言っても幸せな痛み、ってやつでしょ?」



背中から痛いほど抱きしめる細くて小さな手を、



そっと、ぎゅっと握り返した。



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