
ドロップ・オブ・ロゼ 〜薔薇の涙〜
第22章 薔薇と百合の一夜 ②
「君さ、思うんだけど、どうしてそんな知った風なことを言うの?」
雅「クラスの女の子達が、その手の話でいつも盛り上がってたから。イヤでも知ってるよ?」
「そっか…」
雅「それに私……小さい頃、近所にいたお兄ちゃん、って、慕ってた男の子にイタズラされたことがあるの。」
「え……?」
雅「それからよ?男の人がイヤになったのは?」
「だったら尚更…今からでも遅くないから、もっとちゃんとした人に…」
雅「例えば?」
「例えば…」
雅「千陽さんのカレシ、とか?」
「そっ!それはダメ!」
手をほどき振り返ると、
イタズラっぽく僕を見つめる瞳が見上げていた。
「な…何?」
雅「カレシさん、てば愛されてるのね?千陽さんに?」
抗議しようと開きかけた唇を素早く塞がれる。
雅「ね……早くシよ?」
「加納さ…」
雅「『みやび』って…」
全てを飲み込んでしまいそうなほどに深い色の瞳。
雅「みやび、って呼んで?千陽さん?」
「みや…び」
その瞳に吸い込まれるように僕は唇を重ねた。
