ドロップ・オブ・ロゼ 〜薔薇の涙〜
第24章 殉愛
目を固く閉じたままベッドに横たわる圭太の胸に両手を押し当て、そのまま腕に力を込めた。
何度も何度も、その筋肉の鎧に覆われた胸元を押し続けた。
そして、圭太の顔色を確認しながら、圭太の顔を上向かせ、少しだけ開いた口の中へと思い切り息を吹き込んだ。
でも、ピクリともしなくてまた、同じことを繰り返す。
…お願い、目を開けて!!
圭太………!!
三度目ぐらいだっただろうか、ひくひくと圭太の体が動いて、大きく息を吸い込むと大きな体を俯かせ激しく咳き込んだ。
「よ…かった…。」
思わず漏れた心の声。
ゆっくりと開かれた瞳の中に映る僕の姿に涙が零れた。
圭「っ……ち……千陽さ…」
未だ、忙しなく上下する胸に顔を埋める。
「ごめん…なさい。僕、ってば無意識とはいえあんなこと…」
圭「…全くだよ…。」
温かな腕の中で安堵のため息を漏らす。
圭「でも…」
まるで壊れ物でも扱うかのように、僕の頬を両手でそっと持ち上げキスをする。
圭「俺は貴方を残して先に死んだりなんかしない。」
「うん……」
圭「だって、俺のいない間に他の誰かに触られたくないじゃん?」