
ドロップ・オブ・ロゼ 〜薔薇の涙〜
第24章 殉愛
まだ、乾ききっていない髪と服装を気にしながら会議室のドアをノックした。
「遅くなりました。」
「いえ…急なことでしたし、まだ全員揃っていませんのでお気になさらず…」
どうぞ?と、教頭先生は空いてる椅子を目で指し示した。
確かに、今、いる頭数は片手もいない。
そんなことより、警察沙汰なんて何があったというんだろう?
問題を起こした生徒、って…?
誰に聞こうか、と辺りを見回していると、今しがた会議室に入ってきた女性教師と目が合う。
彼女は、それまで緊張していた面持ちだったが、僕と目が合った途端、ホッとしたような笑みを浮かべながら近寄ってきた。
「あの…何があったんですか?」
僕の隣に座った彼女…音楽を担当している佐藤先生は、一旦、周囲を気にする素振りを見せ、声を潜める僕に耳打ちした。
佐「実は私もそんなには詳しく知らないんです。でもさっき、関係あるかどうかは分かりませんけど、廊下で偶然、校長先生が電話で話しているのを聞いてしまって…確か、救急車がどうとか、って言ってました。」
「救急車……」
佐「…ええ。」
警察……?救急車……?
佐「しかも、その電話の相手は広沢先生らしいんです。」
広沢先生、って、確か…
京四郎くんと加納雅のクラス担任の…?
