
ドロップ・オブ・ロゼ 〜薔薇の涙〜
第24章 殉愛
まさか…京四郎くんの身に何か…?
と、難しい顔をしている僕の隣でぽつり、彼女はこんなことを口にした。
佐「まさか…あの噂、本当だったんじゃ…」
「え?」
佐藤先生は僕から慌てて目を逸らした。
佐「あっ…いえね?…実はある生徒が教師にストーカー行為を働いているとかいないとか、ってウワサがあって…」
「あの…それ、って、誰が誰を、とかって…」
佐藤先生は徐々に増えてくる頭数を気にしながら、
僕の耳元で確かに二人の名を告げた。
「田嶋先生と加納雅」と。
佐「加納雅が田嶋先生を追いかけ回している、って話は知る人ぞ知る話ですし?」
「ま、まさか、二人とも女性じゃないですか?同性愛者じゃあるまいし?」
『同性愛者』…
そう、自分で口にしておきながら、
全身が心臓になったみたいに脈打つ。
佐「でも、加納雅が同性愛者だってことは有名な話ですよ?彼女に旧校舎に連れ込まれて、体を触られた、って言う女子生徒もいましたし?」
「そう…ですか…」
まるで…
まるで、自分のことを言われているみたいな気がして、
僕の心臓は、さらに胸を突き破りそうな程に大きく打ち付けた。
