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ドロップ・オブ・ロゼ 〜薔薇の涙〜

第24章 殉愛



佐「大丈夫ですか?顔色が…」


「はい…大丈夫です。」


佐「保健室に、って、言っても、この状況じゃあ…」


「大丈夫ですから。」



会議室のドアが開いて校長先生が姿を現すと、微かなざわめきが一瞬で消えた。



校長「え…お休みのところ急にお呼び立てして申し訳ありませんでした。」



誰もが、神妙な面持ちで話し始めた校長先生の一挙手一投足を見逃すまいと、



紡ぎ出される言葉を聞き逃すまいと注目する。



校長「そのせっかくのお休みの日に、大変残念なお話をしなければなりません。」



静寂の中に、微かなざわめきが生まれる。



校長「実はある問題が起こりまして、その問題に我が校の関係者が二人、関わっていることが判明致しました。」



二人?二人、って…



そう言えば…田嶋先生がまだ…



未だ姿を見せない田嶋先生に、先程交わした佐藤先生との会話が頭を過る。



校長「大沢先生が受け持つクラスの女子生徒が…」



音を立て飲み込んだ唾が静かに喉奥へと落ちてゆく。



校長「学校医の田嶋先生に怪我をさせ、二人とも搬送された病院で治療中だそうです。」



口元を手で抑え、大きく目を見開き此方を向いた佐藤先生と目が合った。


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