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ドロップ・オブ・ロゼ 〜薔薇の涙〜

第24章 殉愛



「加納雅」。



その名前を聞いた途端、足に力が入らずその場に膝まづく。



佐「大丈夫ですか?島崎先生。顔、真っ青!」



そうか…そうだったのか。



あの時の、あの言葉はそういうことだったのだ。






それに、肖像画を描くときに着ていたあの白い服。



昔の女の人は、夫が戦死すると「二夫にまみえず」(再婚しない)という意味合いで白喪服を着たとか。





彼女は………加納雅は、



確かな意志を持って行動したんだ。





何とか壁に手をつき、ふらつきながらも立ち上がる。



そしてそのまま、心配して声をかけてくれた佐藤先生の声も聞こえていないかのように僕は、



学校を後にした。






圭「……さん、千陽さん?」



何処を見るともなくぼんやりと、膝で微睡むベルの体を撫でていると、圭太に名前を呼ばれた。



「ご、ごめん。何?」


圭「いや…何、って……さっきからずっとぼんやりしてるから。」


「そ、そう?」



指先をベルの顎下に潜り込ませると、ベルは催促するように手の中に顎を乗せた。



圭「何があったの?」


「えっ!!」



びっくりして膝を起こした拍子にベルが身を翻して膝から飛び降りた。



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