
ドロップ・オブ・ロゼ 〜薔薇の涙〜
第24章 殉愛
圭「そんなにビックリしなくても…」
「…ご…ごめん。」
少し離れた場所で、何事もなかったかのように毛繕いをするベルをまた抱き上げた。
圭「学校からの呼び出し、何だったのかな、って?」
「あ……うん……その……」
圭「何か……ヤバい…こと……だよね?日曜の朝っぱらから連絡してくる、ってことは?」
知らず知らずのうちに、ベルを抱きしめる腕に力が入っていたのか、
短く鳴いたベルが腕の中から飛び降りた。
圭「千陽…さん?」
「ごめ…ん…ちょっと……」
圭「どうしたの?顔色悪いよ?」
立てる?と、優しく抱くように僕の肩に手を添え立ち上がらせてくれた。
圭「横になった方がいい。歩ける?」
堪らなくなって僕は、圭太の胸にしがみついた。
圭「千陽さ…」
「一緒に寝て?」
押し潰されそうで怖い……。
「お願いだから…」
取って着けたようなものではなくて、
潜在的に胸の中に渦巻いていた恐怖感に。
「今日だけでいい。」
ううん。今日だけじゃなくて明日も。
その次の日も、その次の朝も。
君が僕のものでいてくれる間、ずっと。
いつの日か、どちらかが冷たい骸になったとしても…。
