ドロップ・オブ・ロゼ 〜薔薇の涙〜
第26章 対峙
黙って天井を見上げほう、っと息を吐く。
やがて、バスルームから聞こえていた水音が止み、もうもうとした湯気の中から圭太が顔を出した。
圭「あー、さっぱりした。」
仰向けに横たわる僕の横に腰を落とす。
圭「……何かあった?」
「……何で?」
石鹸の、フワッとした香りに包まれるように抱きしめられキスされる。
圭「浮かない顔してるから?メシの席でヘンなことでもされた?」
「……されてない、ってば。何回聞くの?」
キスして笑い返す。
圭「じゃあ、なんで元気ないの?」
「気疲れしちゃったのかも?豪華なレストランだったし?」
圭「ふーん。なら、いいけど?」
シャワーを浴びようと起き上がりかけたのを制するように圭太が抱きしめてきた。
「ちょ…けい…」
圭「もう一回、シよ?」
「や…汗かいてるし…」
首筋をなぞる唇の感触が気持ちいい。
圭「そんなの、全然気にならないよ?何なら後で俺が洗ってあげるから。」
「僕が気になるから………っ」
さっきの情事のことを思い出した僕の体がまた、熱を帯びてゆくのがわかった。