
ドロップ・オブ・ロゼ 〜薔薇の涙〜
第4章 君の背中には羽がある
圭「と…通り道だったから寄り道してただけだし…。」
「なんだ。家、この近くなの?」
圭「まあ…。」
よかった。てっきりストーカーだと…。
圭「アイツがアンタの手を握ってきた時からヤベェヤツだ、って思ったからアイツのあとつけてたんだ。」
「そうだったんだ…。」
圭「そしたらアンタがアイツに拉致られてたから…。」
じゃあ、あの時圭太くんがいなかったら僕…
今さらだけどゾッとした。
圭「今だから言うけど、頬っぺたのキズだけですんだからよかったものの、SNSでアンタの裸が出回るようなことになったら話は別だ。」
そして、やっと聞き取れるぐらいの低くて小さな声で彼は呟いた。
圭「もし、そんなことしやがったらアイツ、ぶっ殺してやる。」
「………。」
…よかった。あの時、圭太くんのこと止めてて。
止めてなかったら、あのメガネの彼、今頃…。
圭「まあ、でも俺としてはこうしてアンタのボディーガードができるからいいけどさ?」
…ん?どういう意味かな?
ちょっと油断した隙に、彼は僕から自転車を奪い取り、サドルに跨がった。
圭「後ろ、乗って?」
「だから二人乗りはダメだってば。」
圭「いいからいいから♪」
彼から自転車を奪い返そうとするとなんなく阻まれてしまい、僕は後ろに追いやられてしまった。
