
ドロップ・オブ・ロゼ 〜薔薇の涙〜
第4章 君の背中には羽がある
「お巡りさんに見つかっても知らないからね?」
圭「ああ?何か言った?」
この自転車、こんなスピード出るんだ、ってぐらい、の速さで漕ぐものだから、
耳元でビュンビュンと風が鳴った。
それに、ちゃんと掴まってないと、振り落とされそう…(汗)。
「ねぇ!!」
圭「何?」
「もっとゆっくり走ってよ!?」
圭「え?聞こえないんだけど?」
「だーかーら、もっと、ゆっ…わーっ!?」
ナゼか、急ブレーキをかける圭太くん。
自然と彼を背中から抱きしめるようなカッコに。
「んもー、何?急にブレーキなんかかけて!?」
圭「だって、言ってることが全然聞こえねぇから。」
「だからスピード落として?って言ってるのに…。」
圭「あ…すいません。」
と、ちょっとシュンとしながらも、今度はさっきよりゆっくり漕ぎ始めた。
「もうこんな時間だし、明日からこんなことしなくていいから。」
圭「大丈夫だ、って?」
「ご両親が心配するよ?」
圭「…アイツらは俺の心配なんてしてねぇよ。」
「え?」
圭「…何でもない。」
途端に、不機嫌になる背中。
それは、僕のアパートの前に着くまで続いた。
